認知症のリハビリとは
認知症はこんな症状で始まる
・何度も同じことを訊いたり話したりする
・置き忘れや、しまい忘れが目立つ
・時間感覚がずれている
・知っているはずの場所で迷子になる
・意欲減退、性格変化、被害妄想、幻覚など
認知症のリハビリテーション
現在、認知症に対しては薬物療法が第一に選択されがちですが、残念ながら薬物療法の効果はうまくいって進行をやや遅らせることができる、という程度に留まっています。あるいは副作用のため充分な薬物療法ができない場合も少なくありません。ですので薬物療法の効果をより高めるために、もしくは薬物療法ができない場合のために、非薬物療法であるリハビリテーションを実施することが推奨されます。
リハビリテーションを行って脳が働いている時には、たくさんの血液が脳に流れます。たくさんの血液が流れ、脳に栄養である酸素や糖が供給されることで、脳の機能が維持されることがある程度可能と考えられます。反対に脳を働かせていなければ、血流も悪くなり、認知機能も低下してしまうでしょう。認知症の症状悪化を防ぐためにも、リハビリテーションを行って脳を働かせることが大切と考えられます。
さて認知症のリハビリテーションにはいくつかの方法があります。以下に代表的なものを挙げます。
ページトップへ
認知症リハビリ@ 回想法
回想法とは昔の思い出を語ることです。認知症の方でも昔のことはよく覚えている場合が多くあります。懐かしい昔話を思い出しながら話すと、脳が刺激され、同時に精神的にも安定すると言われています。写真などがあればそれを見ながら話すとより良いでしょう。昔よく使っていた品物を手に取ってみたり、昔のおもちゃで遊んでみたりすることも良いと思われます。
ページトップへ
認知症リハビリA 脳トレ
読み書き
東北大の川島先生によると、何かを見ながら書く事や、声に出して読む事は脳に対し非常に刺激になるそうです。難しいものでなくとも構いません。新聞の見出しを声に出して読んでみたり、書き写すなどしてみましょう。1行程度の簡単な日記を書くのもお薦めですが、肝心なことは毎日少しずつ続けることです。楽しく負担にならないように習慣化して長く続けましょう。市販の脳トレ用教材もいろいろ出ています。
ルモシティ
ルモシテイとは182ヵ国で6000万人の方が利用しているという脳トレアプリです。パソコンでも、スマートフォンでも楽しむことが出来るそうです。記憶力・柔軟性・処理速度・注意力・問題解決などから、自分が鍛えたい能力を設定すると、個人にあった脳トレプログラムを考えてくれます。無料版はトレーニングは3つまで。それ以上は有料となっています。
計算
ごく簡単な足し算引き算を毎日少しずつやると認知機能の維持に大変効果的ということがわかっています。制限時間は特に設けず、無理をしないでやりましょう。
そのほか、買い物をして大体の計算をしたり、お釣りの計算を習慣づけてみましょう。小銭をできるだけ使うように心がけることも計算になります。市販の脳トレ用テキストも良いです。
パズル
トロント大学によると、認知症予防にはパズルが効果ありとのことですが、これも続けて行う事が重要です。パズルは最初は16ピースとか20ピースなどのピースの少ないもので構いません。またクロスワードパズルや数字のパズルである数独(ナンバープレース)も効果があるとされています。 迷路などもお薦めです。いずれもくもん出版から出ているものが使いやすいでしょう。
ゲーム(麻雀・囲碁・将棋・オセロ)
人間相手の色々なやりとりが含まれるゲームは、脳にとって非常に刺激になる活動です。ゲームという楽しい体験も脳の活性化に繋がります。輪投げやボーリング、ダーツなどもよく行われるゲームです。若いころに親しんだものが特に良いでしょう。
ページトップへ
認知症リハビリB コミュニケーション(集団療法)
他人と楽しく話をするというのは脳に最も良い刺激になります。単なる挨拶や尋問などでなく、楽しく話をする機会をできるだけ多く持って下さい。会話がうまく続かいない時は、テレビやビデオを見ながら話したり、昔のアルバムを見ながら話したり、ゲームをしながら話したりすると、良いコミュニケーションが生まれます。
ページトップへ
認知症リハビリC 塗り絵や折り紙(芸術療法・作業療法)
塗り絵や折り紙も脳に刺激を与えます。ただ塗るだけでなく、どこにどんな色を塗るか、いかにはみ出さないよう綺麗に塗るか、考えながら塗ると、より脳に刺激になります。折り紙も、形が崩れないよう丁寧に折ることを意識すると脳に刺激になります。またその他に手芸や工作、書道なども、とてもよい脳トレです。 これらはいわゆる芸術療法や作業療法士が行う作業療法の範疇に入ります。
ページトップへ
認知症リハビリD 学習療法
学習療法は学習支援者と学習者が「フェイス・トゥー・フェイス」でコミュニケーションを取りながら、簡単な音読や簡単な計算問題を行う事で、認知症の予防と改善を図る方法大系です。学習者本人が容易に解答でき、必ず100点がとれる内容を繰り返すことが最も特徴となっています。また、大きくフィードバックを伝えることも重要な要素です。一回は20分程度、少なくとも週3日以上の学習機会の確保が必須とされています。 対人コミュニケーションとポジティブフィードバックが最大の目的です。 くもん学習療法センターから教材が市販されています。
ページトップへ
認知症リハビリE 運動療法(デュアルタスク)
最近盛んに広報されていますが、2つの活動を同時に行うことが認知症の予防に非常に効果があることが、国立長寿医療研究センターの研究でわかってきました。使いやすいのは散歩しながらしりとりをする、とか踏み台昇降運動をしながら100から1ずつ引いていく、などの方法です。簡便ですのでぜひ取り入れてみると良いでしょう。
ページトップへ
認知症リハビリF 音楽療法
音楽を聴いたり、歌ったり、リズムに合わせて手を叩いたり、身体を動かしたり、という活動は脳にも刺激になります。手を叩いたり身体を動かすことで軽い運動を行う効果もあります。歌を歌うことでリラックスすることにも繋がります。多くのデイサービスなどでは、音楽療法として歌や合唱が取り入れられています。
ページトップへ
認知症リハビリF 現実見当識訓練(reality orientation training)
リアリティ・オリエンテーションともいいます。現実見当識訓練とは、今は何月何日なのかとか、季節はいつなのかといった時間や今いる場所等が判らないなどの見当識障害(けんとうしきしょうがい)を解消するための訓練で、現実認識を深めることを目的とします。認知症の方に対しては、質問をして答えさせるというよりは、会話の中で時候の話題を入れたり、カレンダーを示したりして日頃から常に場所や時間などの現実感を持たせるように配慮することが大切です。これは24時間リアリティ・オリエンテーションといいます。
ページトップへ