記憶障害のリハビリ
記憶障害はこんな症状
・同じことを何度も訊く
・同じ話を何度もする
・記憶低下の自覚に乏しい
・本人は困っていない
・自分の方が正しいと思っている
記憶障害のリハビリテーション
記憶の障害は自立生活には最も支障となりますが、一部を除いて基本的に完全回復は難しいのが現状です。
そこで記憶障害に対してはリハビリによる機能改善と代償方法の利用や工夫を併用し、記憶障害による不利の軽減を図ります。
・注意障害と同様に記憶低下があると自らの状態も記憶困難となるため自覚に乏しいケースはしばしばあります。効果的な不利の軽減にはご本人の自覚とそれに伴う記憶努力が不可欠です。自覚を促す働きかけをリハビリと並行して特に重視して行う必要があります。
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記憶障害のリハ@ | 誤りなし学習
間違えてから正答を教えるのではなく、始めに正答を教えてから課題を行う方法です。 誤答の方が記憶に残ってしまい、修正の記憶は残りにくい傾向にあるため、一度間違えると何度も同じ誤りを繰り返してしまいます。それを防ぐため始めから誤りを発生させないという考え方に依っています。現在のところもっとも効果的な方法です。エラーレスラーニングともいいます。
記憶障害のリハA | 認知神経心理学的ボトムアップアプローチ
記憶障害が記銘・貯蔵・再生の過程のどこに問題があるか明らかにし、それぞれに合わせた課題を行おうとする方法。
span testで4桁以下の場合は記銘の問題と考えられるため、 pointing span課題やdigit span課題を行い容量拡大を図ります。
MMSEの単語記憶課題で ヒントにより想起できる場合は再生の問題と考えられるため、 間隔伸長法や繰り返し練習のリハーサル法などを行い想起までの時間を徐々に延長していきます。
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記憶障害のリハB | その他の注意トレーニング
ADL反復訓練(学習転移治療法)
日常生活動作の反復を通して改善を図る
注意機能の強化
記憶と注意は密接な関連があり、注意の改善は記憶の向上に結びつきやすい
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記憶障害のリハC | 代償方法の利用
メモリーログ(貯蔵補助)
メモ帳、手帳、日記、ICレコーダーなどの利用
→病識・他の高次脳機能障害・使用経験の有無により左右
プロセス日記(展望記憶補助)
毎回、日時・目的・その日の予定・自己評価を日記形式で記入
自覚促進と行動コントロールが目的
IT機器の利用(想起補助)
携帯スケジュール機能の利用
→病識・他の高次脳機能障害・使用経験の有無により左右
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記憶障害のリハD | 接し方の注意
自覚促進、覚えやすい工夫(定例化・変更なし・手がかり)貼り紙・チェックリストの利用、頻繁な確認と説明